特別対談

澤田直樹先生にお話をお聞きしました。

藤平信一 心身統一合氣道会 会長

東京工業大学 生命理工学部 卒業
慶應義塾大学 非常勤講師・特選塾員
幼少から藤平光一(合氣道十段)より指導を受け、心身統一合氣道を身に付ける。心身統一合氣道の継承者として、国内外で心身統一合氣道を指導・普及している。

澤田直樹 先生

税理士法人ゆびすいグループ 前代表


光心館道場(大阪)で稽古をしている税理士の澤田直樹先生のお話をお聞きしました。国内11拠点に税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士・行政書士など約300名の専門家を擁し、税務・会計・労務・法務・経営コンサルタントなどの様々なサービスを提供する「ゆびすいグループ」代表をお務めになり、現在はグループの会長をされながら、心身統一合氣道会の指導員として活躍なさっています。

長く続ける「秘訣」

藤平信一会長(以下、藤平):澤田さんが心身統一合氣道の稽古を始めたきっかけを教えていただけますか。

澤田直樹先生(以下、澤田):仕事でお世話になっていた会計士から船井幸雄先生の本を紹介され、その中に藤平光一先生のことが書かれていて、それがきっかけで藤平光一先生のご著書を読むことになりました。「氣」について関心を持ち、当時、税理士の仕事ではそれなりに自信はあったのですが、もっと広い能力を身につけたいと思っていたことから、確か平成10年だったと思いますが、光心館道場(大阪)を訪ねました。今年で24年目です。

藤平:ほぼ四半世紀ですね。これだけ長く続けてこられた「秘訣」は何でしょうか。

澤田:答えになっていないかもしれませんが、「やめないことが一番大事」だと思っていました(笑)。週に何回も稽古に通った時期もあれば、週に1回だけという時期もありました。そうこうするうちに仕事と繫がってくるようになり、家族が稽古に参加するようになり、ここまで続けてくることができました。

藤平:継続がもっとも重要であり、無理をされなかったのが秘訣なのですね。多忙を極めるビジネスパーソンが道場に通うとなると、週1回でも時間を作り出すのに苦労しています。澤田さんはどのような工夫をなさっていたのでしょうか。

澤田:ある時期は、「せめて土日は稽古しよう」という考えでいました。また社長の間は、一週間のうち「木曜だけは時間きっかりで早く終わろう」と、週に一度は「NO残業デー」を作るように心がけました。時間というものは作る気にならなければできませんね。

藤平:道場に通うことにご家族は理解なさっていたのでしょうか。ご家族によっては、「お父さんたら、合氣道ばかり!」と不満を持たれることもあるようです(笑)。

澤田:うちの家庭は、各自が好き勝手やっていることが多いので、お互いに「そういうことばっかりやって!」ということは、ほとんどなかったですね(笑)。

藤平:現在、澤田さんのお嬢さん達もご一緒に稽古されていますが、それはご本人から言い出されたのですか。それとも、澤田さんが勧められたのでしょうか。

澤田:長女は小学生の時に「一緒に行きたい!」と言って、少しだけ稽古した時期がありましたので、元々興味はあったのだと思います。中学・高校ではクラブ活動でバスケットボールをしていましたが、大学に入って「何かしたい」と言っていたので、「一緒に稽古する?」と私から声をかけました。実は、次女も初段まで稽古していて、今は出産・育児でお休みしていますが、またいずれ娘二人と一緒に稽古したいと思っています。

藤平:お父様とお嬢さん達で同じことを学ばれるのは、めずらしいことですね。

澤田:いえ、それがですね…、一緒に稽古しているからといって、私の言うことを良く聞くわけでも何でもなくて(笑)。私のことを「うっとうしい」と思う時期もあったようですが、今では楽しく稽古しています。

「心身統一合氣道の五原則」で人を導く

藤平:澤田さんのお仕事のことをお尋ねしたいと思います。「ゆびすいグループ」ではたくさんのプロフェッショナルが在籍し、その代表として澤田さんは多くの人を導いて、一つにまとめてこられたわけですね。心身統一合氣道の学びが役立つことはありましたか。

澤田:最初から「仕事」と「合氣道」が繋がっていたわけではなかったのですが、自分のポジションや役割が広がっていくにつれて、だんだん融合していったように思います。今から思いますと、グループの代表として、役員とか部門長、管理職とコミュニケーションをとれていること、人間関係がベースとなっていることが、自分が仕事をする上での一番のモチベーションになっていました。

藤平:「リーダーになってから」ということですね。

澤田:経営者という立場になってはじめて、「なるほど!」と腑に落ちることが多くなりました。それまでも、税務折衝やクレーム対応・トラブル処理あるいは「ストレスにどのように対応するか」などでは氣の呼吸法・意志法が十分に役に立っていたと思うのですけれど、人を登用する・育成する・リーダーシップを発揮する上で、「心身統一合氣道の五原則」や「人を導くこと」がたいへん役立ちました。

藤平:士業の先生の集まりは、実力社会であり、それぞれの個性も強いのではないかと勝手に想像しています。そんな皆さんが「一つにまとまる」上で大切なことは何でしょうか。

澤田:うちの事務所は戦後すぐにできましたので、今年で創業75年です。もともと自由に好きなことをやらせてもらえる社風でした。私が代表になって、新たな制度として「自分がやりたいことを企画にして提案する」仕組みを作りました。例えば、「新しい拠点を京都に出したい」「freeeと提携してクラウドの会計ソフトを作りたい」「特定業種の専門部隊を立ち上げたい」など。一つだけ、提案は「事務所として誰かがやったら良い」というものではなく、「自分でやることに限る」という条件を付けました。

藤平:提案しっ放しや言いっ放しがなければ、本当に自分がやりたいことを提案するでしょうし、そういう仕事は氣が出ますね。

澤田:やりたくないことを無理矢理やらせても、労力もかかりますし、無駄なエネルギーを使います。実際、やりたいことをやってもらうと、すごい効果が上がります。勿論、事務所の方針や中期計画なども作っていましたけれども、それよりも各自がやりたいことをやってもらう。そこでやり甲斐を持ってもらうことが非常に重要だと考えました。

藤平:「心身統一合氣道の五原則」で人を導くには、まず「氣が出ている」ことですね。当たり前の話のように聞こえますが、実際にはできていないことの一つです。そして、そこにいる皆さんの氣が出ているから、一つにまとまることができる、ということですね。
 ゆびすいグループには、私も一度、企業研修の講師としてお招き頂きました。導入にあたって、心身統一合氣道の教えが、どんなところに活きるというお考えだったのでしょうか。

澤田:各階層で、会長をはじめとして講師の先生方に3回ほど来て頂いて、コミュニケーションをテーマに指導していただいたわけですが、役員部門長・管理職・ベテラン社員が同じことを学び、日々の仕事に当たってもらおうと考えました。

藤平:共通の「言葉」や「価値観」を持つことが大事ということですね。

澤田:そういうことです。今年はコロナの影響でどうなるか分かりませんけれども、もう少し下の階層までお願いしたいと考えています。ただ、こういったことは一度受講しただけで身につくものではないので、何らかの形で今後も社内で研修トレーニングをしてフォローを続けたいと考えています。

藤平:「身につける」=「学ぶ」×「繰り返す」ですね。そういったところも、心身統一合氣道の稽古と共通した考え方ですね。

心身統一合氣道の指導者として

藤平:ゆびすいグループの代表を退かれてから、澤田さんは心身統一合氣道の教室を新規開設されました。これは代表を退かれる前から計画していたことですか。

澤田:いいえ、ちょうど良い時期に、様々な縁に恵まれただけです。「代表」から「会長」という立場になり、時間的にも、精神的にも余裕が出てきて、このタイミングで教室を開設できていたのは本当に良かったなと思います。最初のきっかけは、山本晶一先生(光心館道場 館長)から「指導者稽古に出ませんか。ビジネスパーソンや中高年対象に合氣道を教える指導員がいても良いのではないか」と声を掛けて頂きまして、それをきっかけに指導者として学び始めました。同時に知人から子どもに合氣道を教えて欲しいというお話しも頂き、開設の準備を進めました。ビジネスパーソンを対象とした教室にもぜひチャレンジしたいと思います。

藤平:それはぜひお願いしたいです。ビジネスパーソンとして「人を導く立場」になった人たちの悩みは深いので、澤田さんのこれまでのご経験が総て活きますね。

澤田:リーダーとして「どんなことが生じるか」というのは、たいていは見当がつきますので、お役に立てることはあると思います。何より、心身統一合氣道の稽古で最も大切とされている「稽古に来たら、氣が出て帰ってもらう」ことに全力を尽くしたいと思っています。

藤平:澤田さんの教室の参加対象は、お子さんがメインですか。

澤田:親子でのご参加も多いですが、大人の方もおられます。

藤平:「親子クラス」は、親子のコミュニケーションにおいて本当に良い機会ですね。親子で共通の言葉や価値観を持つことで、お互いに格段に伝わりやすくなります。何より親御さんがお子さんに「ちゃんと心を向けなさい」と言うからには、まずは親御さんが実践しないといけないわけですから(笑)。

澤田:それは教えている私も同じことで、家族から「そういうお父さんが出来ていない!」といわれることがないように気をつけたいと思います…(笑)。

藤平:指導の現場では、どのようなことを最も大切になさっていますか。

澤田:現在、教室に常時来られるのは10人までですが、できるかぎり個別対応で、この人にはこういうことをやって頂こう、この子にはこういうことにチャレンジしてもらおう、と一人一人と向かい合った指導を心掛けています。実は、長女は最近になって指導者稽古に出させて頂いているので、いずれ教室のアシスタントをしてもらえたら良いなと願っています。

藤平:新型コロナウイルスの影響については、どのように捉えていらっしゃいますか。

澤田:仕事においても、教室においても、勿論、様々な制約があるわけですが、いつも藤平信一会長に教えて頂いているように、「できないことにとらわれず、できることに全力を尽くす」ことを心掛けて、こんな時代だからこそ氣を出して、今できるチャレンジをしています。

藤平:今後の抱負を教えて頂けますか。

澤田:「一日一日を大事にして、常に楽しくある」ことです。今回の対談もそうですが、機会を頂いた際には必ずチャンスを活かしたいと考えています。そして、これから教室を充実させて、多くの皆さんと共にプラスに歩んで行きたいと思います。

藤平:本日は有り難うございます。今後も宜しくお願いいたします。

『心身統一合氣道会 会報』(37号/2021年10月発行)に掲載

こんな時代だからこそ氣を出して、今できるチャレンジをしています。

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当会では「合気道」の表記について、漢字の「気」を「氣」と書いています。
これは“「氣」とは八方に無限に広がって出るものである”という考えにもとづいています。


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