特別対談

「英会話のイーオン」の三宅義和様にお話をお聞きしました。

藤平信一 心身統一合氣道会 会長

東京工業大学 生命理工学部 卒業
慶應義塾大学 非常勤講師・特選塾員
幼少から藤平光一(合氣道十段)より指導を受け、心身統一合氣道を身に付ける。心身統一合氣道の継承者として、国内外で心身統一合氣道を指導・普及している。

三宅 義和様 株式会社イーオン 代表取締役社長

1951年、岡山県生まれ。大阪大学法学部卒業。85年イーオン入社。人事、社員研修、企業研修などに携わる。その後、教育企画部長、総務部長、イーオン・イースト・ジャパン社長を経て、2014年イーオン社長就任。一般社団法人全国外国語教育振興協会元理事、NPO法人小学校英語指導者認定協議会理事。趣味は、読書、英語音読、ピアノ、合氣道。


プラスの言葉を使うこと

藤平信一会長(以下、藤平):三宅さんは心身統一合氣道よりも先に氣圧法(心身統一合氣道に基づいた健康法)から学ばれたのでしたね。そして、現在は初段を目指して、毎週、心身統一合氣道の稽古を熱心になさっています。最初のご縁を教えて頂けますか。

三宅義和様(以下、三宅):本屋さんで藤平光一宗主の『成功の秘訣は氣にあり』(東洋経済新報社)という本を読み、「これはすごい、本物だ!」と思ったのが最初です。しかし、「氣」というと何だか「怪しいものかな?」という思いもあり、初めて氣の講座(月1回開催される日常生活での氣の活用を学ぶ講座)に参加したのは何年か経ってからでした。氣の講座では「心が身体を動かす」ことを体験しました。正に「目から鱗が落ちる」思いでした。その後、本格的に氣圧法を学び始めました。

藤平:藤平光一宗主の印象はいかがでしたか。

三宅:偉い先生ですので怖いイメージがありましたが、実際には違いました。氣圧法の授業で私は率先して前に出ていましたので、宗主から直にご指導を頂く機会を頂きました。あるとき、宗主が私の手を取って下さったことで、それまで出来なかったことが初めて出来るようになったことがありました。宗主から「三宅さん、それでいいんですよ」と優しく声をかけて頂き、非常に嬉しかったのを覚えています。一つ一つの体験を大切にし、お聞きした話もノートにしっかり取りました。特に、戦時中の宗主のご経験を直にお聞き出来たことが心に深く残っています。

藤平:リーダーとして、三宅さんは氣の学びをどの様に活用なさっていますか。

三宅:最も大きいのは「言葉の力」です。自分が発する言葉は、一番近くで聞いている自分に大きな影響を与えています。瞬時に、プラスもマイナスも心に入って来ます。ネガティブな言葉を使うとそれが姿勢に現れて乱れてしまい、ポジティブな言葉を使うと姿勢は乱れない。抽象論、精神論、観念論ではなく、発する言葉が実際に身体に影響を及ぼすことを実感出来たのは、日常においても仕事においても貴重な体験でした。

藤平:「How To Say」ではなく「How To Do」が重要ということですね。具体的に教えて頂けますか。

三宅:まず私自身が心をプラスに使うこと、そしてプラスの言葉を使うこと、を心がけました。例えば、会社で帰るときの挨拶も「お疲れさまでした」から「今日も有り難うございました。明日もよろしくお願いします。」と自然に変わって行きました。「お疲れさま」という言葉が悪いという意味ではなく、疲れたときに習慣的に出るネガティブな言葉が少なくなったということです。

藤平:社員の皆さんはいかがでしたか。

三宅:始めは言葉の威力を信じていなかった社員も「言葉を変えると本当に疲れなくなる」という声が聞こえて来るようになり、社内で明らかにプラスの言葉が多くなりました。その結果、社内の雰囲氣が変わったことが非常に大きかったと思います。今でも日々、実践しています。私は新入社員や外国人教師の研修で必ず「氣のテスト」を紹介しています。体格が良く一番強そうな人を指名して私を押してもらいます。言葉の使い方、心の使い方でいかに身体に大きな影響を与えているかデモンストレーションをすると、彼らは心から納得してくれます。昨年、数百人の高校生を対象に講演したときも、最後に氣のテストを紹介しました。言葉の重要性が体験を通じてしっかり高校生に伝わっていくことを感じました。

藤平:心の底からプラスの言葉を用いると心身共に安定する。それを実際に「やってみせる」ことに価値があります。私もイーオンでお世話になっている生徒の一人ですが、講師やスタッフの皆さんは基本的にプラスですね。そう言えば、以前に社内で氣の呼吸法をされていると伺いました。

三宅:私自身は、氣の呼吸法を朝15分、夜15分、何があっても必ず行っています。ですから、その効果を実感しています。心身の健康に本当に役立っています。以前は夜に喉が痛くなると必ず翌日に風邪を引いていましたが、今は呼吸法をしっかりして休むと翌朝にはすっかり良くなっています。一日色々なことがあって心がザワザワしているときも、氣の呼吸法をすれば落ち着いて眠りにつくことができます。朝もスカッと爽快に目覚められます。社内では、会議を始める前に時間を取って氣の呼吸法をすることがあります。集中力が高まるように感じています。新人研修では必ず氣の呼吸法を紹介します。社員が効果を実感し、継続してくれたら素晴らしいと思っています。

藤平:身体の疲れは寝れば回復しますが、氣の滞りは寝るだけでは解消しませんね。野球のようにシーズンを通してたくさん試合があるスポーツは、終盤になると氣が滞って来ます。そういう時、氣の呼吸法を行えばリセットできるので選手からすごく喜ばれています。経営者の場合はオフシーズンがないわけですから、氣の呼吸法が欠かせませんね。

三宅:本当にそう思います。今では、さらに心身統一合氣道の稽古をするようになって、2時間たっぷり汗をかいています。心身共に爽やかで幸福感に満ちています。

正しい継続は力なり

藤平:さて、三宅さんのプロフェッションである英語学習についてお話を伺いたいと思います。私がイーオンでお世話になることが決まったとき、三宅さんから「先生、英会話学校に通うだけで英語が身につくわけではありません。正しい訓練を継続するから身につくのです」と言われたのが深く印象に残っています。考えてみれば、道場に通うだけで身につくわけではなく、学んだことを日常で訓練するから身につくのですから当たり前の話です。しかし、英語学習においては私も「目から鱗が落ちる」思いでした。

三宅:いきなり厳しいことを申し上げてしまいましたね(笑)。

藤平:イーオンでは最初に正しい訓練法を教えて頂きました。「自分が正しく発する音は聴き取れる」という原則に基づき、毎日欠かさず音読をする。正しい発音はネイティブの先生のチェックを受ける。この訓練を9ヶ月間続けた結果、TOEIC(※1)のスコアが580から830まで上がりました。イーオンでは私よりも短期間でスコアが伸びる人がたくさんいるので、私が特別に優秀なわけではなく、正しい訓練がいかに重要かを実感しました(笑)。

三宅:TOEICのスコアはさておき、先生は実際に海外で講演やスピーチをされたり、メジャーリーグの選手に指導されたり、現場で英語を活用なさっています。先生が飛躍的に伸びたのにはポイントが二つあります。一つは、中学・高校で英語の基礎をしっかり勉強されていたこと。もう一つは、音読を中心としたトレーングを毎日欠かさずされたことです。英会話の習得には、「学習」の面と「トレーニング」の面があります。学習の目的は「理解する」ことで、トレーニングの目的は「実際に使えるようになる」ことです。基礎がしっかりしている状態で会話の訓練をするから伸びが早いのです。会話はスポーツと同じで「どれくらい練習するか」というトレーニングの世界なのです。

藤平:心身統一合氣道の稽古も同じことですね。音読を毎日続けていると、「音読」そのものにも楽しさがあることが分かってきました。音読は「息を吐く」ことですから、同時に呼吸の訓練にもなっているわけですね。ただ、正直に申し上げますと、私の場合、いきなり効果が表れたわけではないので、始めのうちは「音読するだけで本当に出来るようになるのか」と半信半疑になることがありました。しかしそこは、イーオンの先生との信頼関係で継続しました。

三宅:私共の日本人教師が先生に音読とシャドーイング(※2)の方法をお伝えして、正しい訓練を素直に実践された。ここが重要なのです。「継続は力なり」ではなく、「正しい継続は力なり」なのです。間違ったことを継続しても力は付きません。正しい学習方法、トレーニング方法を伝えることが私共の大きな使命だと考えています。それが外国人教師だけでなく、日本人教師がいる理由です。ところで、先生はどの辺りでトレーニングの効果を感じられましたか。

藤平:3ヶ月ほど訓練を継続しているうちに、たまたま見ていたNHKニュースの英語での副音声が、いつの間にか聞き取れるようになっていました。これには本当に驚きました。効果を感じられるようになると、その後の継続はさらに苦にならなくなりました。

三宅:先日、福島の二本松で小学校の先生方向けに講演し、日本人トレーナーを同伴し、参加者に音読トレーニングを体験して頂きました。CDに合わせて声に出す訓練を10分ほど行いました。このように限られた時間でも、最初は聞き取れなかった音が聞き取れるようになることに、皆さん大変驚かれていました。自分が正しく発音できるものは耳が反応できるようになるのです。残念ながら、音読の効果をほとんどの日本人の英語学習者は知りません。リスニングの重要性は知っていても、ただ聞き流すだけです。元々、学習においては「~だけすれば良い」ということはなく、聞き流すだけ、文法だけ、暗記だけ、という学習法には無理があるのです。バランスの良い学習法が必要です。加えて申しますと、よく「日本人は、読み書きは出来るが会話が出来ない」と言われていますが、実際には日本人の多くは読み書きも苦手です。特に足りないのは多読です。近年はメールで仕事をすることが増えましたから、英語の読み書きもますます重要になっています。

藤平:私の経験では、音読の訓練である程度聞き取れるようになると、ゆとりが生まれて、相手にしっかり心を向けられるようになった感じがありました。言葉をコミュニケーションの手段と捉えれば、「氣が通っている」ことが最も重要なはずなのですが、聞き取れない単語が多かった頃はそこで氣が滞ってしまい、相手にしっかり心を向けることが出来ませんでした。これこそ英語を話せない最大の理由であったのだと思います。

三宅:先生の場合は、心身統一合氣道で「相手に心を向ける」というベースがおありでしたので、英語であろうと日本語であろうと非常に良いコミュニケーションが取れるということだと思います。「英語」を話そうとすると、それだけで意識が上がってしまう方もおられます。特に日本人は「間違ってはいけない」と考えやすいので、ますます落ち着きがなくなります。「臍下の一点に心を静める」ことは、会話においても極めて重要だと考えています。

大事なのは発している「氣」

藤平:イーオンではコミュニケーション能力が高い外国人講師が多くいらっしゃいます。社内でどの様な育成をなさっているのでしょうか。

三宅:外国人講師は、採用時の面接を重視しています。同時に、ティーチングの実技のテストをします。日本人の話を良く聞き、忍耐強く教えることが出来るかどうかは、模擬レッスンを数分見るだけでも分かります。「人の話にしっかり耳を傾けられる温かさ」とか「日本人学習者にとって良い先生になりそうな雰囲氣」とか、大事なのはその人の発している「氣」です。採用後の研修では、トレーナーの話を心も身体も100%向けて聞けるように訓練をします。それがそのままレッスンの際の姿勢に直結します。つまり、研修の段階からアクティブ・リスニング(※3)のトレーニングになっているのです。

藤平:指導する立場にある者は、プラスの氣を発しているのが基本ですね。日本人講師やマネジメントスタッフについてはいかがですか。

三宅:日本人講師もマネジメントスタッフも同じで、入社して研修が終わる頃には、多くの社員がプラスの氣を発するようになっています。言葉がプラスになる、明るい表情になる、明るい服を着る、前髪を上げるなど、表れるものは人それぞれですが、内面が外側に表れるようになると日に日に輝いて来ます。講師にしてもスタッフにしても、せっかく縁あってイーオンで働くことになったわけですから、仕事を通じてより良い人生を歩んでもらうことが大事だと考えています。心身統一合氣道の氣の学びは、そこに活きると確信しています。

藤平:本日は貴重なお話を有り難うございます。

『心身統一合氣道会 会報』(第5号/2013年10月発行)に掲載

【脚注】
※1)TOEIC:英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通のテスト。990点満点。
※2)シャドーイング:影(シャドー)のように、聞こえてきた音を追いかけて同じように真似しながら発声するトレーニング法。
※3)アクティブ・リスニング:相手が心を開き「もっと話したいと思う」聴き方。笑顔、頷く、アイコンタクト、メモを取る、質問をするなど、積極性と共感性をもった聴き方。

仕事を通じてより良い人生を歩んでもらうことが大事だと考えています。

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当会では「合気道」の表記について、漢字の「気」を「氣」と書いています。
これは“「氣」とは八方に無限に広がって出るものである”という考えにもとづいています。


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